コラム


気のゆるみと〈我流〉糖質制限【File No.4】

2016.12.01
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inagaki
〈我流〉糖質制限の食事メモ

67歳の看護師Iさんは、昨年11月末から減量目的で糖質制限を始め約4.5kg減量し、以前に会った時ははつらつとしていた。ところが、先日の糖質制限セミナーに参加した彼女の顔や腕はひどい湿疹のうえに、体調が悪そうだ。

「9月の健康診断で中性脂肪が336になり、怖いので脂質を極力摂らないようにしている。」と言う。他に原因があるとみて、彼女から約10ヶ月間の食事内容を聞くと、気のゆるみと反動、そして〈我流〉糖質制限に取り組んでいた。

糖質制限開始~6ヶ月の間は、初心を忘れていない。

糖質制限を始めて、大好きだった3食のごはんをピタリと止めた。かぼちゃの煮物、ポテトサラダ、ごぼうや人参のきんぴらなど糖質の多いおかずは作らないようになった。毎日のように食べていたチョコレート、ジャム+マーガリンのコッペパンのおやつ、のど飴も止めた。

魚、卵、鶏肉などのおかずと葉もの野菜を中心に、食事メモまでつくり、まじめに糖質制限に取り組んでいた。

2015年10月(実践前)と2016年5月(実践半年後)検査結果を見ると、糖質制限(彼女の努力も付加したい)による体質改善の効果が出ている。

2015年10月(実践前)

身長146cm、体重52.4kg、中性脂肪175、HDLコレステロール53、LDL181、HbA1c 6.0%

2016年5月(実践5ヶ月半後)

体重49.8kg、中性脂肪102、HDLコレステロール60、LDL186、HbA1c 5.8%

 

6ヶ月以降の気のゆるみと反動

2016年9月の検査結果は、体重48kg、中性脂肪336、HDLコレステロール57、LDLコレステロール148 と、確かに中性脂肪値が極端に高い。※ 9月はHbA1cを検査していない。

これは、5~9月の4ヶ月間の食事に原因あり!と食事内容を聞いてみた。

「ごはんは殆ど食べていない。」と云いながらも、ぽつりぽつりと何を食べていたか告白してくれた。「ごはんの主食だけを控えれば良いと思い、お寿司がNGだと意識していなかったから、にぎりを8貫~12貫位は食べた。」「焼き肉はごはんと一緒に食べた。」

さらに、友人達から「痩せて健康的に見えない。」と言われ、友人との外食では、口が寂しかった反動で、糖質の多いお好み焼き、うどん、スパゲッティを爆食。また、友人宅で出されるお菓子もしっかり食べていたそうだ。

5月のよい検査結果と減量成果を受け、自分に甘くなってしまった。この気のゆるみと反動は、ダイエット中には誰にでも起こりうることだ。

 

まちがった〈我流〉糖質制限

● カロリー制限的発想

糖質制限をはじめても、Iさんのダイエット指標は、糖質量ではなく、体重と食事量だった。体重が増えたら食べる量を減らす。昼食を食べずに、おやつに糖質の多いミカン1個やリンゴ半分だけ。

「体重は減ったし、67歳なんだから好きな食品を少しだけ摂るのは構わない。」という持論で、喉がイガイガすると飴をなめ、職場で出されるおやつのお菓子も、お昼は余り食べていないから大丈夫だろとつまんでいた。

ごはんは控えているが、このちょっとだけ喰いを繰り返していたので、少ない食事量の割には1日の糖質摂取量はかなり多くなっていた
 

●〈糖質〉から〈脂質〉制限へ移行

糖質の多い食品を摂ると、太るホルモンでもあるインスリンが多量に分泌されて、糖(ブドウ糖)が中性脂肪になる。Iさんは、このメカニズムを理解していたのだが、高い中性脂肪値への不安から「脂の摂り過ぎが、体の(中性)脂肪になる。」という従来の脂肪悪玉説を信じ始めた。

その結果、糖質制限ではたっぷり摂ってほしい脂質の肉、オイルなどを極力摂らなくなった。豆腐、ジャコ、ワカメ、野菜、ヨーグルト、ナッツ、果物をメインとした少量の食事を9月から10月末の糖質制限セミナーで食事内容をチェックされるまで続けた。

 

● ハチミツは体に良い?

ハチミツは、糖質16.7g/大さじ1杯(15cc)なのでNG食品と伝えていたのだが、糖質制限を始めてからも500ccの瓶入りハチミツを定期購入し毎月1瓶を使い切っていた。

自慢の糖質制限朝食は、糖質5g未満のヨーグルト+ミキサーで砕いたクルミ+アーモンド+黒ごま+ココアパウダー+シナモン+カルダモン。ここまでだと、低糖な朝食としてOKなのだが、問題はそこにハチミツ大さじ1杯を加える。

自然甘味料のハチミツを使用するのは、嫌いな酸味が緩和されるだけでなくヘルシーだと思い込んでいるので、糖質12.9gもある半切れのグレープフルーツにも、ハチミツ1.5杯をかける。これで糖質37.95gだ。

驚いたことに、砂糖代わりに煮物にもハチミツを使っていた。

 

● 酢はどれでも体に良い?

Iさんは血圧を下げる効果があると、キャベツ2,3枚の千切りを 甘みのあるおいしい酢 に漬けて1日1,2回食べていた。

そして、この酢が体に良いからと筆者にもプレゼントしてくれた。一口なめてみると強烈に甘い。原材料に米酢、果実酢、加糖ブドウ糖液糖、蜂蜜、食塩が使用されている。メーカーに糖質量を確認すると35.5g/100g。

単に米酢であれば大さじ1杯でも糖質は1.1gだが、この酢は大さじ5.33gもある。この酢をキャベツ漬けに大さじ3杯以上使用し、食べる時に「体のため」と酢も飲み干していた。さらにこの甘い酢をらっきょう漬けだけでなく他の料理にも使用していた。

キャベツとらっきょうの甘酢漬けだけでも、20g以上の糖質を毎回摂っていたことになる。これでは本末転倒だ。

米酢と糖質ゼロの甘味料ラカントSを使用するように奨めた。

健康によいと「飲む酢」がブームだが、口あたりが良い酢ほど糖質が多いと思われるので必ずチェックして欲しい。

 

高い中性脂肪値の原因

吉田クリニックの吉田院長に、高い中性脂肪値の原因を伺った。

中性脂肪の値は、測るタイミングによりかなり変動する。例えば、朝の検査と、昼食ご2,3時間後の検査でも数値は異なるそうだ。

Iさんに確認すると、9月の測定時間は昼食2時間後だった。検査日は、朝食も昼食もごはんを50g~100g位食べていた。また、気のゆるみと反動から起こった糖質摂取の食習慣は、検査前まで続いていたそうだ。

彼女が愛用していた甘い酢の原料ブドウ糖などの液化糖は、吸収率が良いので血糖を急速に上げ多量のインスリンが分泌、中性脂肪を増加させる。これも、中性脂肪が高くなった要因の一つのようだ。

その後、Iさんは糖質制限第一人者江部康二先生の糖質制限ダイエット・1ヶ月献立レシピ本を参考に正しい糖質制限に取り組み始めた。

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