コラム


食育が必要な肥満大国アメリカ

2016.05.20
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10年ぶりに訪れたアメリカは、どこへ行っても肥満の人ばかりだった。明らかに10年前より肥満の人が多くなっている。事実、18年前アメリカへ移住した友人によると、大きいサイズ(3XL以上)の洋服は、種類と量がずっと増えたそうだ。

滞在中、すべての食事をアメリカ人といっしょに摂った。延べ120名の食生活をじっくりと観察できたおかげで、肥満要因のひとつが、食育の欠落だということが見えてきた。

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糖質食品のオンパレード

アメリカ南部にあるルイジアナ州を訪問した。南部の州は肥満人口が多いといわれる。今回、肥満原因のひとつが、子供時代から常食している糖質の多い食品にあるのでは、と思える出来事に遭遇した。

ホームスクーリングという教育システムがある。6歳から17歳までの子供達が、学校に通わず親が借りた施設で、元教師、スペシャリスト、親から一般教育だけでなく社会で実用できる術を学ぶ。そこで学ぶ子供達の発表会に招待された。ここでも、出席した50名程の成人約8割が肥満体型なのだ。一方、40名程の子供は手足が長く痩せている。

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発表会後の親睦会では、母親が持参した料理が振る舞われた。

マカロニ料理・ジャガイモ料理・豆料理・分厚いパンを使ったサンドイッチ・グレービーソース・ジャム・マフィン・トルティアチップス・ポテトチップス・クッキー・ケーキ・フルーツ・コカコーラなどのソフトドリンク etc.

予算上肉料理は無理だったのかもしれないが、糖質食品のオンパレードだ。そして、これが典型的なアメリカの食事なのだ。

ホームスクーリングというユニークな教育システムなのだから食育もできるはずなのだが、この料理を見る限り、ほとんどの親は子供達あるいは自分たちの健康や食事内容を、さほど気にしていないのであろう。食欲旺盛の子供達と同じように、親も躊躇なく数々の料理や食後の複数のデザートまで美味しそうに食べていた。

ここは大人が子供に食育をする場ではないようだ。この糖質だらけの食事を食べ続ける限り、どこかで食育の機会が無い限り、将来この子供達は確実に肥満体型に変貌するだろう。

 

親の無頓着さから生まれる肥満の可能性

60歳になる友人は20代から肥満体型だ。南部美人の二人の娘さんも残念ながら20代ですでに肥満体型だ。16歳の息子さんは養子なので遺伝的には太る体型ではないはずだが、ポッチャリしている。

彼は、ビタミンC、E、B6、B12入りの”ビタミンウォーター”というビタミン系ドリンクを体に良いと信じて水代わりに飲んでいる。糖質の多いスポーツドリンク並に、こちらもペットボトル1本590CC(20液量オンス)の糖質量は32g!もある。

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ところが、親として、ペットボトル症候群の危険性があるビタミンウォーターを止めさせるどころか、まとめ買えをしている。さらに、彼の好きなチョコレート、チップス、ハンバーガー、フライドポテトも好きなだけ食べさせている。おまけに彼はi-phoneに夢中でほとんど運動をしていない。

このままでは、彼は確実に体重が増え続けるのではないだろうか。彼女の肥満の娘さんも14、5歳までは普通体型だった。彼女たちもまた子供の頃から注意されることもなく、日常的に糖質の多い食品を摂り続け、ポッチャリから肥満体型になってしまったのではないだろうか。

 

ビーガンが摂る糖質の多い食品

ビーガン(Vegan)は、菜食主義の中でも一番厳格で、肉類、魚介類、乳製品、卵、ハチミツなど一切食べない。前述の22歳の末娘さんも18歳からビーガンだ。カロリー的に言うと、低カロリーの食生活なので痩せるはずだが肥満体型だ。

彼女の食事は、パン、豆類、野菜がメインで、間食にはグルテン・フリーのトルティアチップスやクラッカーを、アボガドや豆などのディップに付けて食べることが多いようだ。またバター無使用のケーキ、チョコレートなどのスイーツは大好物らしい。彼女のビーガン食は、糖質が8割を占め、たんぱく質は低く、脂質はほぼ無いに等しい。

彼女は自分の体型を気にしている様子はないが、健康問題は将来必ず生じるだろう。やはり食育が必要だ。

 

スリムな体型を維持しているゲイの食育

一方、アメリカでもきっちり健康管理、食事管理をして体型を維持している人達も居る。カリフォルニア州サンホセに住む50代のゲイカップルは、メタボとは縁のない健康的な体型だ。彼らのゲイ友人達もほとんどが太っていないそうだ。

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二人は、美意識が高く、住まいやファッションだけでなく、自身の外見にも敏感だ。ゆえに、太らないために、健康を維持するために、何をすべきかを学び、40代半ばから食生活には特に気を遣いはじめたそうだ。テニス、ジム、ウォーキングなどの運動もこまめにしている。

ローカーボ・ダイエットの実践者ではないというが、カーボ(炭水化物)が体に良くないという知識は持っているので、パンは極力食べない。アメリカ人が好きなドーナッツやシナモンロールなどの甘いパン、サイドディッシュとして定番のフライドポテト、マッシュポテト、ポテトチップスは控えている。スィーツはカカオ80%以上の低糖チョコレートを選び、食後のデザートも極力控えている。勿論、ビールは飲まず、赤ワインかテキーラ(糖質0g)を選んで飲んでいる。

糖質の多いパスタやピッザなどを食べる時は、食前に3,4種類のチーズやオリーブオイルでローストしたナッツをシャンパンと楽しみ (お洒落だな~)、メインの食べる量を我慢せずに減らしているそうだ。

積極的に摂っている食材は、肉、野菜、チーズ、ナッツ、アボガド、オリーブオイル、ココナッツオイルなどで、すべて糖質の少ない食品だ。

こうしてみると、二人はゆるやかな糖質制限実践者と言える。

知的レベルが高い彼らが選ぶ食材の特徴は、肉、野菜、飲み物、乳製品、ナッツなどはすべてオーガニック食品。パン、シリアル、クラッカー、パスタなどはブームのグルテン・フリー食品だった。トレンドに敏感なカリフォルニアンらしい食の選択肢だ。しかし、このトレンドも新たな食育が必要になる時期が来ると思う。

※グルテンフリーの問題点は、特集記事アメリカで見たグルテン・フリー ブームとその盲点を一読頂きたい。

こうしてみると、アメリカ人が抱える肥満問題の直接的要因は、やはり過度の糖質摂取だ。そして間接的要因は、食育の欠落と言えるのではないだろうか。

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